人材紹介業のKPI管理と人材紹介業のKPIで必要な分析手順

人材紹介業のKPI管理と人材紹介業のKPIで必要な分析手順

人材紹介業KPI

人材紹介業でビジネスを安定させるため、決定を出し続けるための方法は、得意な「業界」「職種」によって全く違う。

おそらく、あなたも頭では分かっていても、実際にあなたの会社に置き換えると、どのように管理していけば良いのか分からずに悩んでいることだろう。

また、もし仮にあなた自身が上手く出来たノウハウがあったとしても、あまりに感覚的で、他の人にも当てはまるのかジレンマに陥っているかもしれない。結論からいうと、あなたの人材紹介業の成果を出してくれるのはKPI管理がすべてである。

転職エージェントは水商売に近く、個人の担当者の力量次第で何千万円も売り上げられる人と全く売り上げを出せない人に分かれる。責任者やリーダーの方は、こいつはできないやつだと決めつけないでほしい。また結果を出せていない担当者は、まずは素直に自分の行動を数字で追うことを徹底的に行ってほしい。

このページでは、私が転職エージェントのRA/CAとして結果を出してくることができた理由、弊社の社員が人材業界未経験から結果を出している理由、そして、実際に私たちが行っているKPI管理の方法を全てご紹介する。

非常にボリュームは多いが、人材業界で従事している人は、ぜひあなたの日々の行動を見直すために、ぜひ、ひとつひとつじっくりと読み込み、そして実践してほしい。

そうすれば、KPI管理は決して悪ではなく、あなたに必ず大きな結果をもたらしてくれることをお約束する。

人材紹介業でKPI管理を使うべき人

KPI管理をすべき人

KPI管理なんて必要ないというエージェントの方々も多いが、結論から言うと、人材業界で長く活躍していて、個人の名前が転職エージェントとして売れている人以外は、必ずKPI管理をすることが、安定した決定を出す上で最重要になると私は考える。

数字で示すならば、中小のエージェントであれば、どの層を狙うかにもよるが、年間18人(月1.5人)ぐらい、金額で言うならば2,500万円ぐらいの売り上げを出すまではKPI管理は必要だろう。大手エージェントの方ならば、もうすでにKPI管理はしているだろうが、月8人ぐらいの決定は出していて欲しい。

正直言って、毎日8時間以上 x 年間240日の仕事の時間を転職エージェント業に使って、これぐらいの数字を出せないようでは、全く自分の行動を管理できていないに等しい。

私は色々なビジネスに時間を割いていて、転職エージェント業として純粋に週2日ぐらいの稼働しかできていない時期(この時期は全ての求職者をスカウトから集客していた)もあったが、そんな時期でも年間18人ぐらいの決定は出していた。

自分の行動を常に分析して悪い点を改善していくことができれば、対人インパクトが悪く、話が下手な人でも決して難しい数字では無いので、素直に自分の行動を見つめ直して欲しい。

決定の出せない人ほど、飛び道具を出そうとして、行動量を担保できない人が多いのが人材業界である。人材紹介業はあくまでも労働集約的なビジネスだと考えた方がいい。そこを踏まえた上で圧倒的に行動し、信用を積み上げていくことで、全くスカウトを打たなくても将来的に個人の名前だけで食べていけるタレントの転職エージェントになれるのである。

人材紹介業でKPI管理を私が使った理由

KPI管理を使った理由

人材業界に長く従事して、個人の名前だけで転職者を惹きつけ、転職エージェントとして活躍している人は多々いる。私はまだ自分で転職エージェント業を始めてから4年だが、この2年間は一切スカウトを打たずに、人脈紹介とWebからの問い合わせだけで、人材紹介業を行っている。企業開拓に至っては起業してからというもの自ら営業した会社は2社しかない。

人脈紹介で集客する方法、Web集客する方法は別の機会で説明する。ただ、そんな私も2年間は皆さんと同じように徹底的にスカウトを打って、日々改善を繰り返してきた。サラリーマン時代はKPIは管理されるためだけのものだと思って軽視してきた私だが、いざ自分で転職エージェント業を始める時には、まず一番最初にKPI管理表を作ったのは今でも忘れない。

皆さんも、現在人材業界に従事していると思うが、独立した時にまずなにをするか考えてみて欲しい。会社のため、自分の生活のために、必ず売上が欲しいと思うはずだ。

「その売上を出すためにはどうすればいいのか。内定承諾を出さないといけない。内定承諾を出すためには内定が必要。内定を出すためには面接を組まなければ、、、、、」結局あんなに嫌いだったKPIが頭の中をグルグルするのである。

ただ人材業界のKPI管理ほどシンプルで、分かりやすいものはない。私は元々メガバンクで働いていたが、銀行業務で例えると、年間20億円ぐらいの融資目標があった時に、毎月1億円の融資を積み上げていくこともできるが、一年間仕込みまくって年度末に一つの会社に一気に20億円融資することもできるのである。こうなってくると日々の行動進捗をシンプルにKPIに落とし込むことはかなり難しい。人材業界においても外資金融のファンドマネージャーで年収〇億円、〇〇億円なんていう案件もたまにあるが、そういうものに会社の業績を左右されるのはあまりにも博打要素が強すぎる。ゆえに人材業界で安定的に結果を出すためにはKPI管理は非常に効率の良いツールなのである。

KPI管理では分析・改善はこうするのが良い

人材紹介業のKPI改善

KPI管理表はどこの人材会社も同じだろう。改めてダウンロードできるようにもしてあるが、大事なことはそれを日々の改善に活かせているかということだ。表に数字を入力することは猿にでもできる。そこからなにを導き出すのかが、一番の鍵になってくる。また、攻めている業界や職種によって、決定率には大きな違いがあれど、他の人材会社がどれくらいの数字を追っているかがブラックボックスなのが、人材業界の難しいところである。そこで、弊社の目標数字も参考になればと思い、掲載するので、是非転職エージェントの経営者やマネージャー陣は参考にしてほしい。

>>弊社が実際に使っているKPI管理表(numbers)

KPI管理で追うべき項目と目標値の設定

項目目標件数/月
スカウトメール4,000
返信401%
書類送付2050%
一次面接1050%
二次面接以降550%
内定240%
内定承諾150%

上記が弊社の新人が追うべき毎月の目標値である。まずはここから始めてもらう。その中で週単位で改善を行なっていくのである。この目標値はどうやって作っているのかというと、基本的には全ての率を50%で作っているということが、ミソである。50%というのはコイントスの裏表と変わらないギャンブルの確率である。要するに50%を超えられないのであれば、基本的には転職エージェントなんて使わなくて良いと私は考えている。転職者にとって転職エージェントを使う理由は、ギャンブルよりも合格率を上げてあげられるのかどうかだと思うのである。だからここを超えられるかが新人の転職エージェントの価値ではなかろうか。

そしてここからスタートした新人転職エージェントが、日々この数字を改善していくとどうなるのか。弊社で一年経過した者のスカウトメール経由から決定した直近の実績値が以下である。

項目5月6月7月8月
スカウトメール1884636443462
返信9553
書類送付2112139
一次面接1410108
二次面接以降6644
内定4221
内定承諾1221

いかがだろうか。

エントリー者でいうとたったの22名しかいない中での6名決定である。本日が9月9日だということを考えると、7月、8月のスカウトメールに紐づいた求職者の決定はもう1名ほど出る可能性もある。これは何度も言うが、毎週KPI管理の数字から分析・改善を繰り返して一年経った結果である。

つまり転職エージェントとして結果を出したいならやるべきことはマネージャーもプレイヤーもKPIの数字を妥協なく追いかけて改善していくことだけということだ。

そこで問題になるのが「項目ごとになにを改善するのか」ということだ。

各項目ごとの改善点

各項目の数字はただ記入して終わりでは意味がない。決定が出せないのには必ず理由があるのだ。悪く言ってしまうと、人材紹介というビジネスの日々の業務フローは単調だが、そこを突き詰めて考えられるかが最終的な決定人数の差に繋がるし、日々改善を繰り返さないことには転職者の満足にも繋がらず、転職者にも大変失礼な話である。そのためにも、改めてあなたやあなたの部下には何が足りないのか、KPIの項目から導き出して欲しい。項目に関しては内定承諾数から逆算して考えて欲しいため、あえてKPI管理表の下位の項目から説明する。

内定承諾数・承諾率

まずは最終的に何人の決定を出したいのかが鍵になってくる。この内定承諾数に関しては、あえて低く目標設定をする必要はない。あなたの会社の得意とする領域の平均決定額に応じて、必要な内定承諾人数を割り出して欲しい。中小エージェントでも一人で年間1億円以上の決定を出す化け物エージェントさんもいる世の中なので、是非目標は大きく持っていただきたい。

承諾に向けて大事なことは、求職者の本音を引き出す力と目先のオファー条件だけでは判断できない将来的なキャリア・人生のメリットデメリットを整理してあげることである。他社の条件や会社の事も分からない場合はアドバイスなどしてあげられないため、必ず自分の人脈を全て使って、情報を集めてあげるのが求職者のためでもあるし、内定承諾前の最終フェーズまできて、その程度の努力もしてあげられない転職エージェントは全く意味がない。言い方は悪いが、他社の内定先より100万円悪いオファーでも決めさせてあげるぐらいの説得力と情報整理がないと決定には繋がらないのである。もちろんあまりにも他社の会社の方が求職者のキャリアにとって良いと判断する場合は、強引に決めに行くと早期離職にも繋がってしまい、会社の評判も信頼も失墜するので、やめるべき行為である。

最近の神戸大と同志社大学の研究では、自己決定が幸福に繋がるという調査結果も出ており、求職者が入社後に活躍するかどうかに関しても、ここで自己決定感・納得感をもって入社してもらうよう働きかける事で、求人企業にとっても求職者にとってもwinwinに繋げることのできる、良い転職エージェントの力だと私は考えている。

自己決定によって進路を決定した者は、自らの判断で努力することで目的を達成する可能性が高くなり、また、成果に対しても責任と誇りを持ちやすくなることから、達成感や自尊心により幸福感が高まることにつながっていると考えられます。(引用:http://www.kobe-u.ac.jp

内定件数・内定率

内定が出たら(企業によっては内定が出る前に)最終的なオファー条件が出る前に求職者の期待値調整と企業側へのオファー条件の交渉余地を探ることが一番大事になってくる。ここのスピード感が無いと求職者を内定まで導いてきた今までの選考過程を台無しにしてしまう。かならず人事が社内稟議の決裁をもらう前に、求職者側にオファー承諾をするminimum条件を聞き、人事と交渉に入ろう。

求職者によっては、事前にオファー承諾条件を決められていない方、あえて教えてくれない方もいるが、オファー条件が企業から提示される前に、求職者の希望条件、他社内定先の条件をしっかりとヒアリングができているかはチェック項目として別で管理した方が良いかもしれない。

二次面接以降の面接設定件数・通過率

二次面接以降は、求職者への面接練習と、企業の人事以外の現場責任者・役員陣の人物・思考の理解が鍵になって来る。人事だけではなく、企業の現場・役員陣にまでしっかりと踏み込める営業をする必要がある。またCA側も求職者の他社選考状況の把握と選考スピードの調整、求職者の企業への不安点の払拭などをこの段階からしていくことで内定承諾へ繋がりやすくなる。

人材紹介業の難しいところの一つとして、自分自身が面接を受けにいくわけではないので、案件の確度というものが予測しづらい。この人は大丈夫だと思った人ほど、最終面接で落ちたり、オファー条件が噛み合わなかったりするものである。ただそれを言い訳にしていては、ずっとコイントスをやっているのと変わらないのである。最悪の可能性を1%でも削るために、求職者と企業に深く入り込むことが大いに重要である。

一次面接の面接設定件数・書類通過率

一次面接に進めるかどうかは、推薦文の作り方、人事とのリレーション、求人の募集背景・求める人物像の理解力、次第である。私の場合は書類選考の通過率は80%を超える水準を維持していたいと考えている。求職者と会わずに書類だけで不合格と判断させないグリップを企業と作っておく必要がある。

書類の通過率に関しては他社転職エージェントと大きく差をつけられる一番のポイントではなかろうか。特に中小エージェントであれば、大手のように大量の求職者を推薦するわけではないので、書類の通過率が悪い中小エージェントは間違いなく決定数が少ないと想定できる。RAであれば、「貴社からの紹介であれば、書類は100%通過で、いきなり現場責任者の面談組むよ」と言われるぐらいの求人企業は複数社持っておきたいところである。CAに関しては、求人企業の社風や業務理解をしないまま推薦はしない方が良い。頻繁に推薦する企業に関しては、RAと面談に同行するだけで、推薦文の質もはるかに高くなることは分かりきっているし、無駄な時間ではない。

応募書類送付件数・応募承諾率

この数値が悪いのは、求職者から返信が来てからのレスのスピード、電話などのファーストインプレッション、求職者都合に合わせたスケジュール組み、求職者への魅力づけ、に問題がある。雑な求職者や全く対応してくれない人もいるが、どんなに低くてもこの数字は50%は保ちたい。

弊社でいうとスカウトメールに求職者から初回返信がきてからのレスは、原則10分以内に返すようにしている。スピードだけは誰でも意識できることなので、怠けることなく続けよう。

エントリー数・返信率

この数字が悪いのであれば、スカウト文面、タイトルのつけ方、求職者の絞り込み方、スカウトに用いる求人の質がスカウトに適していない形になっている可能性が高い。状況によってはスカウト媒体があなたの会社に合っていない事もあり得る。

スカウトメール

スカウトメールは送信数が鍵になってくる。媒体によってもスカウトの送信数は大きく変わってくるが、大半の決められない転職エージェントは、決定したい人数から逆算した時に必要な数のスカウトを打てていない事が多い。また、求職者対応の忙しさを理由にスカウトメールをサボる事も多い。冒頭にも言ったが、人材紹介業は労働集約的なビジネスである。最近はどこの媒体も、爆打ちするようなスカウトメールが打てなくなってきており、スカウトは量の時代から質の時代へと移行しつつあるが、しかしそれはあくまでも上手なプレーヤーの話である。どんなに返信率が良くなろうともそもそものスカウトメールの数が、決定数に比例するのは間違いない。どうしてもスカウトを打つ時間がないのであれば、スカウトアルバイトを採用しても良いかもしれない。

質を下げろと言っているのではない。あくまでも人材紹介のビジネスは量をこなした先に質というものがある。4,000件のスカウトメールで1名の決定が出せると仮定した時に、2,000件のスカウトメールを打って1名決められるように工夫するのではなく、4,000件という量は担保し続けながら2名決める工夫をすべきなのである。今、「それ同じ意味じゃん。」と思ったあなたは、多分決められない転職エージェントだと私は思います。

人材紹介業務を飛躍的に効率化するためのツール

人材紹介業は労働集約的なビジネスだし、無駄な作業が多いです。それを効率的にする工夫と努力は日々行なってください。弊社でも色々と工夫していますが、例えばPCにスニペット機能のあるアプリを入れるのもオススメですよ。求人票作る時やスカウトメール打つ時、テンプレートのメールなど打つ時も、業務速度が飛躍的に上がります。使い方は調べたらすぐ出てくるので、是非試してみてください。

Windowsを使っている人は CliborをDL

macを使っている人は ClipyをDL

KPI管理を制すると転職エージェントの価値をも向上させる

KPIが転職エージェントの価値を上げる

人材紹介業ではKPI管理を使うことで、不安定な人材紹介業に安定した売り上げを生み続けてくれて、数値を分析改善する努力が求職者の満足度も底上げしてくれる。

これさえ追求していれば、売り上げだけではなく、勝手に求職者の満足度も向上し、あなたの転職エージェントとしての価値を勝手に引き上げてくれる。

そのために最も重要なことは、「分析・改善することをサボらない」ことだ。単調な転職相談と単調な企業営業だけをしていて、ただ世の中の流れにしがみついている転職エージェントは何千社もある。

ぜひ、あなたも求職者のために、徹底的にKPIを追ってみてほしい。それだけ続けていれば、あなたは近い将来、その成果に驚くことになる。

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堀田 誠人

メガバンクで面接官を経験。その後、人材大手Intelligenceのシンガポール法人立ち上げメンバーとして転職。帰国後に株式会社Youth Planetを設立。リクルートキャリア社主催のGood Agent Award 2016で大賞を受賞。 キャリア相談はお気軽にこちらから連絡ください>>