自己PRとガクチカは明確に異なる。面接をコントロールする自己PRの作り方。

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よく就活生から「面接の準備をしたのに、聞いて欲しいことはあまり聞かれず、全然答えられなかった….」と相談を受けることがあります。

他にも近い事例だと「自己PRで強みとそのエピソードを話したら、強みを活かした他の話を聞かれて答えられなかった…」

実はこれらの問題は『自己PRの作り方』にあります。このnoteでは「面接において質問予測ができる自己PR」を解説していきます。

はじめに

この記事では私が内定を連発していた時の『自己PRの作り方』に加え、私自身の大手企業の人事経験、採用の支援の経験を織り交ぜて「面接官の質問予測」の要素を踏まえて言語化しました。

記事の中でお伝えする「自己PRの作り方」は、オフラインのセミナーや大学での登壇等で、3年ほどで1,000人程にお伝えしている内容です。

例えば、ガクチカはあるのに上手く就活が進まない学生に私の「自己PRの作り方」を伝えたところ、Fランクにも関わらずキー局やリクルート、メガバンクなどの内定を手にした学生も複数います。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、自己PRに「取り組み+結果」を織り交ぜると、これだけである程度質問を予測することができます。

「取り組み+結果」の具体例です。仮にあなたが面接官だとすると以下の例文を読んで何を質問したくなりますか?

ex, スポーツジムのアルバイトでレッスン集客を3倍にしました

上記の例文を読んで「レッスン集客3倍にしたってあるけど、具体的にどうやってやったの?」と質問をしたくなりませんか?

このように、自己PRで「取り組み+結果」を含めると、聞き手の面接官はそのプロセスを聞きたくなります。

しかし、実はこれにプラスで3つの要素を入れると、更に質問予測ができます。

このnoteでは「自己PRという手段で質問予測を行いたい方」「ガクチカと自己PRの差別化」を解説しています。オフラインで多くの就活生にお伝えしてきた再現性の高い内容ですので、自己PRで悩みがある方は一読して下さい。

自己PRの特徴

まず特徴から説明します。自己PRの特徴は2つあります。

一つ目は「面接の最初に行われる」という特徴です。

自己PRとはどんな場面で問われるかイメージして下さい。「自己紹介と併せて自己PRをお願いします」であったり自己紹介の後に「それでは自己PRを30秒でお願いします」と基本的に面接の『最初』で問われます。

二つ目は「面接工程の中で唯一プレゼン形式」という特徴です。

面接とは基本相互コミュニケーションですが、自己PRのみが30秒や1分などの持ち時間を与えられ一方的に面接官にコミュニケーションを行うプレゼン形式となります。

上記を纏めると、『面接の最初に行う/プレゼン』です。この特徴を念頭に置いて読み進めて下さい。

自己PRの役割

自己PRの役割について最も重要な要素は『質問誘導』です。自己PRの特徴は『面接の最初に行う/プレゼン』であり、この面接の最初に行うプレゼンの後には質疑応答、要はガクチカという深掘り(自己PRを元にいつ・なぜ始めたか、なぜ成果が出たか、なぜそう思ったのか等)が待ち構えています。

ここで役割を具体的に説明していくと、以下の流れです。

1,面接の最初に行う
2,プレゼン
  2-1 とにかく分かり易い
  2-2 質問したくなる

1, 面接の最初に行う

面接の最初の持ち時間を上手に使う事で、その後の面接官からの質問の予測が出来る状態を作り出す事を可能にします。言い換えれば『面接をコントロール』する為の手段となります。

2, プレゼン

自己PRを『プレゼン』と捉えた時に『良いプレゼンとは何か?』を知るべきです。私は質問誘導できるプレゼンとは以下の2要素だと考えています。

2-1 とにかく分かり易い
2-2 質問したくなる

2-1 とにかく分かり易い

プレゼンとは一方的なコミュニケーションです。途中で質問が出来ない状態の為、一度聞いて相手を理解させる必要があります。

2-2 質問したくなる

プレゼンとはその後の質問、議論を促すべきものです。プレゼン後、聴衆(面接官)が前のめりになり、質問をしたくなる。あなたの事をより知りたくなる内容が良いプレゼンです。

つまり、自己PRは『質問誘導』を目的に、『とにかく分かり易い』文章を作るべきなのです。

元人事が考える自己PRの例文

自己PRの特徴として『面接の最初に行う/プレゼン』。
自己PRの役割として『質問誘導』。
この2要素を理解した上で、先に私の考える例文を記載します。

自己PRの例文1

私の強みは「気付き・考え・行動する」事です。
この強みは野球の経験で培って参りました。
大学ではこの強みを活かし、三つの取組で成果を挙げました。
一つ目はスポーツジムのアルバイトでレッスン集客を3倍にしました。
二つ目は野球サークルで初の学内リーグ準優勝をした事です。
三つ目はゼミ活動においてゼミ長として大学対抗討論会を成功させた事です。
この成果から私の強みは「気付き・考え・行動する」事だと考えております。
(200文字/言語で約30秒)

自己PRの例文2

私の強みは「気付き・考え・行動する」事です。
この強みは長年の野球の経験で培って参りました。
大学ではこの強みを活かし、三つの取組で成果を挙げました。
一つ目はスポーツジムのアルバイトでレッスン集客を3倍にしました。
これは私自身が三つの取組として「認知度向上」「真似」「差別化」を行った事による成果です。
二つ目は野球サークルで初の学内リーグ準優勝をした事です。
サークルでは新入生勧誘に注力し、「新しい集客手段」を取り入れた事が成功要因です。
三つ目はゼミ活動においてゼミ長として大学対抗討論会を成功させた事です。
私自身は「進捗管理の徹底」と「役割分担」を上手に出来た事がゼミ長としての功績と考えております。
この3つ取組と成果から私の強みは「気付き・考え・行動する」事だと考えております。
この強みは私自身が志望する貴社の〜〜の営業においても必ず活かされ、貢献出来ると確信しております。
(400文字/言語で約60秒)

自己PRの作り方解説/※ガクチカとの差別化

例文を一読して頂いた後で、具体的に元人事ならではの自己PRの作り方を3つの要素で解説させて頂きます。

❶ 強みの選定/全ては業務理解からの逆算

自己PRの強みの設定について多くの学生は『自分発信』になっていると思います。過去の経験を振り返りながら『私の強みって何だろう』と考えているはずです。

ただ自己PRの本質とは『自分を売り込むプレゼン』です。自己PRとは『私の強みは〜〜です。』という話ですが、その延長線上には

『私の強みは〜〜です。コレって御社でも必ず求められますよね?。だから貢献出来る可能性が高いと考えられます。』

までイメージをする/させる必要があります。

例えば、業務において様々な部門の人の協力を得て顧客課題にチャレンジする企業において、自己PRが

『私の強みは困難な壁に対して必ず努力し乗り越えられます。例えば受験勉強で留年した時、例えば部活で大きな怪我をした時。必ず諦める事なく努力し、乗り越えて来ました!』

という学生がいた時に、人事は『入社後にやる業務とのミスマッチ』を感じ取ってしまいます。

仮に自己PRが『周囲を巻き込んで成果を挙げてきた話』であれば業務との親和性、再現性を想起する事が出来ます。

自己PRの強みの設定とは常に逆算思考。この業務にはどんな能力/要素が求められるのか?
を念頭に置いて考えてみて下さい

❷強みは複数エピソードから証明する

私は強みの定義とは『様々な場面で活かせる力』だと考えています。
言い換えれば、再現性が高いもので無ければ社会人になった後に、再度発揮出来るのか疑問と考えます。

 

私の例文では、
前半部分に強みを培った経験/大学以前
後半部分に強みを発揮した経験/大学以降
の形を取っています。

強みを培う/形成するという考えについて、強みとは多くの場合は人格形成期の長期経験によって培われるものだと考えています。

 

たまに1ヶ月程度の留学などで強みを得た話など聞きますが、人の良い部分。魅力的な部分。その人ならではの要素。というものは一朝一夕では伴わないと考えています。
その為、例文では前半部分は敢えて大学以前の長期経験を以ってして強みを形成した事に触れています。

強みを活かすという考えについては、大学以前に培った強みは一つの場面で無く、複数の場面で活かしていて然るべきものです。
一つの場面でしか活かした事のない強みというのは再現性が伴わなく、最早強みであると断言出来ません。

更に面接を想定した時に稀に人事から自己PRの直後
『その強みは活かした経験を他にも教えて下さい』
という意地悪な質問が来る場合もあります。

その時を想定した上でも強みを活かした経験を「複数場面」。あらかじめ準備しておくと良いです。

❸自己PRは浅く広く/ガクチカは狭く深く

私の自己PRの例文は一つ事を深く話す内容ではありません。
特に200文字の方では『浅く/広く』。『取組内容の羅列と成果』しか記載していません。

この文章を読んで、あなたが人事だった時に何を質問したいか?
を一度考えてみて下さい。

成果を挙げる為の『過程/プロセス』を聞きたいはずです。
『野球のどんな経験でその強みを培う事が出来たの?』
『スポーツジムはどうやって集客3倍にしたの?』
『野球サークルで準優勝はどんな事をしたから?その中での役割は?』
『なんでゼミ長に選ばれたの?ゼミ長としてどんな取組をしたの?』
といった内容のはずです。

これらの質問は『狭く/深く』聞く内容。つまりガクチカの要素になります。

自己PRとは『面接の最初に行う/プレゼン』です。
面接では自己PRの後にガクチカへと展開していきます。
私の例文はとにかく『浅く/広く』『取組と成果の羅列』です。
みなさんがよく作る『狭く/深い』『取組と過程と成果の網羅』は30秒や1分間一方的にコミュニケーションをする自己PRに不向きだと考えています。

面接官が『とにかく分かり易く/質問したくなる』状況を作り。質問誘導に重点を置くのであれば、自己PRとは『様々な出来事を浅く散りばめ。過程は浅く。面接官が興味を持った事から順次質問して下さい。でもその質問って取組と成果を聞いているから”過程”を知りたいんですよね』という所まで予測が出来ます。

自己PRは『浅く/広く』『取組と成果の羅列』→質問誘導
ガクチカは『狭く/深い』『成果を挙げる過程評価』→思考力/課題解決力
などの評価を人事にさせる

これが自己PRとガクチカの明確な違いだと考えています。

 

最後に

自己PRとガクチカは全く異なるものだと私は思います。自己PRとは『質問誘導』を目的とした『面接の最初に行う/プレゼン』です。

❶ 強みの選定/全ては業務理解からの逆算
❷ 強みは複数エピソードから証明する
❸ 自己PRは浅く広く/ガクチカは狭く深く

この3点を踏まえて、自己PRを作り込むと、間違いなく面接がコントロール出来るはずです。

一度作った自己PRを見直してみて『私が面接官だったら?』の視点を持ちながら再度作成してみて下さい。

私の知識、経験にて読んでくれた就活生の内定率の向上に繋がれば嬉しいです。是非一緒に就活を頑張って行きましょう。

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