人事は志望度をどう評価しているか

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面接で志望度をアピールしてくる学生は多いです。私が面接官をやっていた時も、私のいる企業にどうしても入りたくてわざわざ就職留年して3年連続で受けに来ていた方がいたり、採用ページに300回ぐらいのログイン履歴があったり、面接中にどうしても入りたいんですと泣き出したり、とても想いの強い方達がいました。

それ自体は悪くはないのですが、「あなたは志望度が高いので合格です。」とは簡単にいかないのが就職活動です。そしてこの志望度というものは、学生のエントリーが多い人気企業においては価値が薄れていくし、不人気企業であれば志望度をアピールすることの価値が高まっていきます。

最近だとコンサル業界が高学歴の学生には人気です。極端な例ではありますが、ある外資戦略コンサルの新卒面接官は、地頭力の点数付けだけをしており最近は評価項目に志望度は入れていないと言っていました。

逆にいうと新卒売り手市場の今は、全く人気のない中小零細企業の社長や人事は、やる気さえあれば採用するという会社もあり、志望度の重みは企業によって全く違うのです。本日は志望度というものを面接官視点から紐解いていきます。

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面接の評価システムの話

志望度の話をする前に、まず面接の採用管理システムの話をしましょう。学生には馴染みがないかと思いますが、企業が使っている採用管理ツールというものは様々あります。サービス名で言うとtalentioやハーモス、ジョブカン、i-web、etc…企業により使っているシステムも様々です。

就活生の皆さんが知っているような超大手だとレジェンダコーポーレションのEHRなどを使っている場合が多いような気はします。

これらのシステムを使って何をしているのかを理解することが大事です。システムによっても仕様や目的が違うのですが、面接官はこのシステムを使い、面接においてはざっくり以下のようなことをします。

1,面接前にESを読む
2,面接中に学生が話している内容のメモを取る
3,事前に決めた評価項目に点数をつける
4,次回の面接官への申し送り事項を記載

この中でも特に志望度において重要なのが、「事前に決めた評価項目に点数をつける」項目になります。

多くの企業では、面接において評価を均質化するため、5つぐらいの評価項目を作成し、各項目に点数付けをして合計点の高い方を採用しています。そして、これらの項目と合わせて志望度という項目も例外企業を除いて、どの会社も必ず点数付けしています。

志望度は可変性がある評価項目

冒頭に例を挙げたような就活生は、企業研究をしてこの企業が大好きなんだという想いを伝えれば、内定が貰えると思いがちです。ただし、志望度はあくまでも評価項目の一つだと認識することが大事です。特に中身の無い学生の志望度だけの一点突破は、人気企業では難しいのです。

また評価項目の中でも「志望度」という項目は選考期間の中で、企業側から能動的に変化させることができる(可変性がある)項目だということもポイントです。可変性があるということは選考の初期段階では、志望度はそこまで意識されてはいないのです。

例えば、私が大手IT企業で面接官をしていた時の例を挙げましょう。その企業では、6項目20点満点で学生のポテンシャル項目を評価付けし、それとは別に志望度を5点満点で評価していました。

この時はポテンシャル項目20点満点のうち15点以上を通過としていましたが、これにさらに通過・不通過の条件を付け加えていました。20点満点中19点、20点と高い点数をとる学生の場合は志望度が低くても通過させ、ポテンシャル項目が15点のギリギリ合格の人は志望度が低いと不合格としていたのです。

この目的としては、点数の高いどこの企業からも内定の取れそうな優秀な学生は次回の面接で、現場のエリート社員を会わせて志望度上げをしていくのです。優秀な学生は、優秀な社員を面接の場に出すというコストをかけてでも志望度は変化させていけるので、初期段階での志望度はさほど関係ないのです。

しかしお気づきかと思いますが、逆にいうと評価点数がギリギリの学生は志望度上げをしている暇やコストは割けないので、ボーダーラインの学生は志望度が高い状態でないといけないという問題も生じてはいます。この辺りは企業によっても差があるとは思いますので、よほど自分に自信がない限りは志望度は高く見せていく方が良いかと思います。

 

売り手市場のマーケットでは志望度は重要になってくる

現在、日本の就活市場は学生の売り手市場と言われています。複数内定を獲得する学生も多いでしょう。

ここまで企業によって志望度の重要性はばらつきがあると言ってきましたが、売り手マーケットの時は、志望度は重要になっていきます。

人事採用の仕事を考えてください。採用担当の方は、年間で採用目標人数を設定しています。IRを読む事で内定率が上がる理由の中でも記載しましたが、経営計画から落とし込まれて採用予定人数も設定されています。

100人の採用目標人数に対して採用できた人数を110名で終えるのか、90名で終えるのかは大きな違いになります。そういった人事の思惑の中で、売り手市場だと内定後辞退という問題が人事を苦しめるのです。

そのため、学生への内定出しは学生の志望度が上がるまで出さなかったり、ボーダーラインの学生であればやはり内定後辞退の可能性の低い、志望度の高そうな学生に内定を出したりしているのが本音です。

具体的に志望度をどう評価するのか

結論から言うと志望度の点数付けは、人事の感覚値であることは間違いありません。

多くの学生は第一志望ですと自信満々に発言するので、本音が分からず点数付けも実にあやふやなものです。ただ、その中で多くの人事がどのような質問/評価するかというと以下の3パータンが多いかと思います。

1、うちの志望度は?他にどのような企業を見ていますか?
多くの学生は第一志望と言うのは分かっています。では他の企業はどこ見ているの?と聞いた時に、例えば競合他社の名前が出てこない。第一志望はIT企業のうちだけど、他は全て金融機関を受けている。という学生は実は結構います。こういう方は業界・企業や業務の理解にも乏しい場合が多く、純粋に志望度で判断した時に、あまりにあやふやで志望度が高いなとどうしても思えないのが正直なところです。

2、過去と未来のロジックの一貫性
過去の行動源泉と将来何がしたいか。ここのロジックがずれているとどうしても違和感を覚えてしまいます。理系の学生のように、「こういうきっかけがあって、〇〇の研究がしたいと思い今の研究室に入り、その研究内容を貴社の△△という製品作りに活かして、世の中の人を笑顔にしたいんです」という形が理想形です。文系職の場合は、どうしても話がぼやけてくるので、そこにロジックを通していくことが大事です。

3、行動
大企業などの倍率の高いところは結局『行動』を見ています。行動とは能動的行動。就活で言えば結論OB訪問の有無などです。例えば自分が面接官になった時にどちらの方が志望度が高そうでしょうか。

A「第一志望です。説明会に参加して〜ところに興味を持ち」
B「第一志望です。説明会はもちろん、自分でもOB訪問で〜お話をお伺いし」

間違いなく『受け身』の説明会で行動を止めた学生よりも『能動的/自発的』な行動を起こさないと発生しないOB訪問にまで情報を取りに行った学生の方が志望度が高く見えます。

最後に

繰り返しお伝えしますが、志望度は評価項目の中の一つの項目です。志望度が高いだけで内定が出ることはありません。

一方で志望度は売り手のマーケットでは重要になってきます。そこでこの記事に書かれている「志望度の表現」や公式LINEでの志望度に関する解説を参考にして、志望度を組み立てておくことをオススメします。

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